OUR STORY
これは、この歩みが始まるまでの、心の軌跡です。
A SINGLE SHEET
01
白い線だけの、ぬりえが一枚。それを、そっと世界へ送り出しました。返事が来るとは、思っていませんでした。
THE FIRST COLOR
02
最初の一枚は、マレーシアの子どもから届きました。
白い線だけで送り出したあの紙が、その子の色で埋まっていました。お手本のない、上手も下手もない、その子だけの色でした。
返事が来るとは思っていなかった私は、その一枚を、長いあいだ見ていました。世界に色を送り出したつもりでいて、先に色を受け取ったのは、こちらのほうでした。
ここから、始まりました。マレーシアは、私が思い描いていた「届く範囲」の、内側です。その範囲の外から声が届くのは——もう少しあとの話です。
THE STORY
03
正直な話をさせてください。この歩みを最初に思い描いたとき、私は世界に向けて広げるつもりはありませんでした。
日本とマレーシア。せいぜい、数カ国。それが現実的だと、それが「安全」だと思っていました。理由はいくらでもありました。言語の問題。運営の負担。責任の範囲。
「自分が対応できる範囲でやるべきだ」——とても合理的に聞こえましたが、今思えば、それはただの言い訳でした。振り返れば、私は自分自身の「怖れ」によって、世界に勝手な境界線を引いていたのです。
その線を壊してくれたのは、イランから届いた一通のメッセージでした。
イランからのメッセージ
「イランからも、参加できますか?」
送り主は、イランで子どもたちに絵を教えている、ひとりの母親でした。六歳のときから絵を世界へ届けてきた、12歳の娘がいること。そして、メッセージはこう続いていました。
「ストレスの多いイランの今、子どもたちが絵を描く時間は、最も偉大で明るい贈り物です。小さな心を癒やし、再び希望を描く。そんな贈り物なのです。」
この一行の前で、私はしばらく動けませんでした。「愛と喜びに満ちた世界を届けたい」と言いながら、私は自分にとって都合のいい「世界の範囲」だけを見て、彼らから「色を塗る」という光さえも奪おうとしていた。激しい恥ずかしさと共に、私は彼女に、こう返すことしかできませんでした。
「子どもたちに伝えてください。あなたの色には、世界を癒す力がある、と」
彼女は「愛を込めて、伝えます」と約束してくれました。そして、こう書いてきたのです。
「ひとつの心に扉を開くとき、私たちは自然に、世界へ扉を開いているのです。芸術は国境を知りません——誠実さと、愛と、光だけを知っています。」
この言葉が、私の新しい羅針盤になりました。イランの人が参加できるようにする。それなら、世界中に開くしかない。私はその日のうちに、世界へ扉を開くと決めました。
境界線を引いていたのは、私だけではなかったのかもしれません。私たちはみな、知らず知らずのうちに自分を閉じ込め、大切なつながりを、ほどいてしまっていたのです。
ほどけかけた糸を、もう一度紡ぎ合わせる。失いかけた温もりを、もう一度分かち合う。
OKAGESAMA
04
いつの間にか、私たちは忘れてしまいました。あなたの食卓に並ぶ食べ物は、一度も会ったことのない誰かが育てたもの。あなたが今日着ている服は、一度も触れたことのない誰かの手で作られたもの。
あなたの「今日」は——すべて、誰かのおかげで存在しています。
それを忘れたとき、世界は静かに、色を失っていきます。
日本に、他のどんな言語にも訳しきれない言葉があります。「おかげさま」。
それは——誰かのおかげで今がある、という意味です。私たちは知らないうちに、たくさんの人の力に支えられて生きています。だから日本では、何かがうまくいったとき、「私が頑張ったから」と言うより、「おかげさまで」と言うことを大切にしてきました。
この言葉には、競争よりも大切にされてきた一つの価値があります。それは、つながりです。
誰かがいるから、私がいます。私がいるから、また別の誰かがいます。その果てしないつながりの中で、私たちは生きています。
ここは、世界中の人が、それぞれの色を持ち寄る場所です。
一人の色だけでは、この作品は完成しません。でも、たくさんの色が集まれば、少しずつ「人類の色」になっていきます。
誰かのおかげで、私たちは在る。
そして共に、世界を彩っていく。
YOUR COLOR
05
世界を織りなすのに、特別な才能や大きな力は要りません。必要なのは、あなたの色だけです。
あなたの色が、世界を形づくる一本の糸になります。その色が誰かの心に届き、やがて世界は静かに変わり始めます。
完璧な絵でなくていい。ただ、あなたの色を、この「色の輪」に、一本の糸として加えてください。
LIGHT YOUR FEELING
あなたの中の「おかげさま」を思い出す。その心の温度を、ぬりえに重ねる。ただ、それだけです。
TURN MEMORY INTO COLOR
世界を彩るのは、絵の具ではなく、あなたの「記憶」です。手を使って塗る。その指先から、新しい繋がりが始まります。
SHARE WITH THE WORLD
あなたの色は、世界中から届いた色と並びます。国や年齢、言葉を超えた、みんなのギャラリーです。
BIG PEACE ART
06
ここに集まった色は、世界中から届いた想いとひとつに繋がれ、「Big Peace Art」——ひとつの大きな絵へと紡ぎ上げられていきます。あなたと、世界中の誰かが共に生み出し、分かち合う、人類の宝物です。
祝祭が終わっても、この記憶はあなたと世界を繋ぐ、消えない絆として残ります。一枚一枚の色が、世界のどこかで生きている誰かの存在として重なり、やがて一つの「人類の色」になります。
そしてこの絵は、未来へ、そして「日常」へと続いていきます。
TO YOU, AT LAST
07
あのイランからのメッセージを、今でも思い出します。「小さな心を癒やし、再び希望を描く——」
あなたが選んだ色は、世界のどこかの誰かの心に届き、やがて希望になります。そして2027年、30を超える国から色が集まったとき——そこには、誰か一人のものではない、人類が共に創り上げた、ひとつの大きな絵が生まれます。